International Union for Conservation of Nature and Natural Resources (IUCN)
人間総合科学研究群 世界遺産学学位プログラム M2 松本 季海芳
国際自然保護連合での仕事と生活
国際自然保護連合(IUCN)でのインターンは、これまでの人生の中で、そして今後も世界遺産や自然との共生に関心を持ち続ける上で、非常に貴重な経験となりました。
今回のインターンでは、新たに導入された事前審査会への参加や、第46 回世界遺産委員会に向けたIUCN の勧告発表資料の作成と委員会への参加、さらには2025 年度の評価書の作成準備に携わりました。実際の評価プロセスは想像以上に複雑で、何度も上司や同僚に質問しながらその意図や背景を理解していきました。
世界遺産委員会(インド・ニューデリー)では、IUCN 代表団のサポートを行いつつ、会議に参加する機会も得られました。佐渡金山の文化遺産登録のような喜ばしい瞬間に立ち会えた一方で、ニョコロコバ国立公園(セネガル)の危機遺産脱却では諮問機関の見解に反する結論が出る様子を目の当たりにし、世界遺産条約の意義や課題について疑問を抱くきっかけにもなりました。
3 ケ月という短い期間ながら、これまでの学びを直に感じ、新たな視点や問題意識を見つけるよい機会となりました。またIUCNを通して様々な素晴らしい人々に出会えたことはこのインターンでの最大の成果の1 つだと思っています。このような貴重な機会に参加できたことを本当にうれしく思います。

第46回世界遺産委員会での業務の様子(筆者左)
国際自然保護連合日本委員会 海外活動報告 インターシップレポート
人間総合科学研究群 情報学学位プログラム M2 蔡丹萌
IUCNアジア地域保全フォーラムで得た学びと経験
2024 年9 月、タイのバンコクで開催されたIUCN アジア地域保全フォーラムに参加する貴重な機会を得ました。今回の参加を通じて、私は多くの方と交流することができ、様々なイベントに参加し、貴重な経験を得ました。
初日は「アジアの自然保護の再構築」というテーマの基調講演から始まりました。講演の終了後、タイの国立公園・野生生物・植物保全局の方々と、タイ国内で進められている保全活動について話し合う機会を得ました。特に、スマートパトロールシステムと森林保全の取り組みについて学び、現地での努力に深く感銘を受けました[1]。また、フォーラムを通じて多くのサイドイベントにも参加しました。最も印象に残ったのは「緑地が人々の幸福に与える影響」についてのイベントでした。自然との触れ合いがストレス軽減や心の平穏に効果的であるという科学的根拠が示され、さらに、自然体験が若者の環境問題への興味を深め、環境教育における体験の重要性を再確認する内容でした[2]。
今回の貴重な機会を提供してくださった筑波大学の自然保護寄附講座(CPNC)に、心より深く感謝申し上げます。実は、CPNCのご支援により、2023 年10 月にはケニアでのインターンシップにも参加することができました[3]。自然保護に関心のある大学院生の皆さんには、ぜひこのプログラムに参加していただきたいと思います。CPNC は多くの挑戦の機会を提供しており、自らの成長と可能性を広げる場が用意されています。積極的に挑戦し、新たな可能性を開拓していきましょう!

IUCNアジア地域事務所の前で撮った写真です。IUCNの警備員の方に撮影していただきました。
国際自然保護連合日本委員会 海外活動報告 インターシップレポート
人間総合科学研究群 世界遺産学位プログラム M1 大久保 澄
Asia Regional Conservation Forumへの参加 -出会いと学び-
私は2024 年9 月にタイのバンコクで行われた、The 8th IUCN Asia Regional Conservation Forum に参加しました。この会議は4 年に1度アジア圏内で開催される、自然保全をテーマとした国際会議です。私は国際会議に参加するのが初めてでしたが、3 日間を通してアジア各国がどのような活動をしているのか、それぞれどのような課題があるのかなど、日本以外の国の自然保全に対するアプローチの現状を知ることができました。
また、今回の会議では私たちのようなユースのみが集まって意見交換をするイベントが多く開催され、自然保全において私たち若い世代の姿勢が世界的に期待されているのだと感じました。実際にイベントに参加してみて、私と同年代の参加者の方がすでに自然保護団体を立ち上げていたり、自然を守るためのアイデアを考案していたりと積極的に活動していることを知り、とても刺激を受けました。
また、国際会議に参加する前は英語でのコミュニケーションに不安を感じていましたが、たとえ自信がなくても参加者と積極的に話すことや、会話をしようとする前向きな姿勢を見せることが最も重要だと、実際に行ってみて感じました。
このように今回のインターンシップは、私にとって大きな成長を感じることができ、素晴らしい経験となりました。

各国のユース参加者たちとの記念写真(筆者は最後列左から2番目)
撮影 道家哲平(IUCN-J)
国際自然保護連合日本委員会 海外活動報告 インターシップレポート
人間総合科学研究群 世界遺産学学位プログラム M1 サン パトリシア
生物多様性条約COP16:先住民地域共同体にとって大きな一歩
コロンビア・カリで開催された生物多様性条約の会議(CBD COP16)に参加し、多くの「初めて」の経験を通じて大きな学びを得ました。初めて訪れるアメリカ大陸、初めての国際会議、そして初めての実務的な国際交渉の場。これら全てが、自分の視野を広げるきっかけとなりました。
渡航前の私は自身を「文化側」の人間と認識していました。しかし、現地での活動を通じて、自然環境と文化が密接に結びついていることを実感。ネイチャー・カルチャーサミットでは先住民・地域共同体(IPLCs)の声を直接聞き、生物多様性保全における伝統的知識の重要性を学びました。また、土地権利や保護地域の課題について深く考える機会を得ました。
さらに、会議の中でユースとしての立場について考えさせられる場面も多くありました。若者ならではの柔軟な視点を活かして発言する他のユースの姿に刺激を受け、自分もユースとして何ができるのかを考えるきっかけとなりました。ユースの声が政策提言に重要な役割を果たしている場面を目の当たりにし、次世代のために行動する意義を強く感じました。
今回の経験を通じて、文化と自然の橋渡し役としての自分の可能性を見出しました。今後は、この学びを研究やキャリアに活かし、持続可能な未来の実現に貢献したいと考えています。

コロンビア・カリでのCBD COP16「Peace with Nature」