国内外に発信する日本の地球温暖化対策のいま
Current Japan's global warming countermeasure toward home and abroad
生命地球科学研究群 生物資源科学学位プログラム M1 野崎亜衣
私は環境省地球環境局にてインターンシップを体験させて頂きました。日本は、世界的な目標である2050年までに二酸化炭素排出量を正味ゼロにすることを宣言して対策に取り組んでいます。地球環境局では、温暖化対策に関する政策や海外との交渉を行っています。
特に印象的な体験は国際会議の交渉シミュレーションです。グループのメンバーが各国の代表となり、気温上昇を1.5℃に抑えるための温室効果ガス削減の取り組みについて交渉するという内容です。この体験から、世界で地球温暖化対策の足並みを揃える難しさを痛感しました。難しい要因として、気候変動への緊急度が地域によって異なることや、経済発展と温室効果ガスの排出が切り離せない現状で経済発展が優先される地域もあること、過去に先進国が温室効果ガスを排出してきた代償として途上国が削減に協力することへの不公平感等があることを学びました。
今後はさらに行政による脱炭素化への取り組み支援を活用した、地域主体の活動が活発になると考えています。その際に私は、活動に積極的に巻き込まれ、周りの人を巻き込むことで温暖化対策に貢献したいです。
最後にこの場をお借りして、貴重な機会を提供して下さった環境省関係者の皆様をはじめ、学びを深めたグループワークのメンバーに感謝申し上げます。
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写真:つくば市の里山の様子。地域主体の森づくりや、木質資源活用の取組は脱炭素社会に貢献(撮影:野崎亜衣)
外来生物は嫌われ者?
Are Alien species unpopular?
生命地球科学研究群 生物資源科学学位プログラム M1 福田ゆき
私は、夏に行われた環境省の本省インターンシップに参加しました。自然環境局の外来生物対策室で業務体験を行い、興味深かったことを紹介します。
外来生物対策室では、令和5年6月から条件付特定外来生物に指定された、アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメに関するニュース記事に寄せられた意見をまとめる作業を行いました。
条件付特定外来生物の規制内容を紹介する記事に対して、様々な意見がありましたが、特に印象的だったものがありました。「ザリガニ釣りは幼少期の思い出なので寂しい」「身近にいた生き物なので、外来生物と思っていない」「亀の甲羅干しはのどかな風景として受け入れている」など、それらの生物に対する親近感を示す意見でした。私は『外来生物は嫌われ者』という先入観を持っていたのですが、面白いことにこれらの2種は既に国民生活の一部となり、愛着をもつ人が多くいたようです。この経験から、施策が国民生活に与える影響や、生態系の保全と国民生活の調和などの様々な課題が見えてきました。外来生物とは一体何なのかということ、また、外来生物と社会の関わり方について深く考える機会となりました。
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写真の説明:環境省が制作した、アメリカザリガニの防除を呼びかけるクリアファイルのイラスト(撮影者:福田ゆき)
農地政策から日本の農業を考える
Thinking about Japanese agriculture from the perspective of farmland policy
人間総合科学研究群 世界遺産学位プログラム M1 中城美優
私は、農林水産省経営局農地政策課にて5日間のインターンシップに参加させていただきました。農地政策課では、農地制度、担い手への農地集積・集約化、農地中間管理機構制度など、農地の政策に関わる幅広い業務を行っています。
インターンシップでは、主に①業務説明、②外部との打合せへの同席、③政策課題に対する提案の3つを経験させていただきました。①業務説明では、10名以上の職員の方々に局や課の概要や政策などについて、マンツーマンで説明をしていただきました。農林水産省という一つの組織でも、局・課ごとに方針や取り組み方が大きく異なることを感じました。②外部との打合せでは、お互いの意見を交換することの重要性や難しさを感じました。③政策課題に対する提案は、①や②で経験したことや、自分の関心をもとに政策への課題の抽出や解決策について、職員の方々とディスカッションを行いました。今回の経験から、政策形成に際しては、地域の課題を把握し、地域の特性に合わせて議論していくことが重要だと学びました。お忙しい中、多くの方々に温かくご指導いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。
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写真:政策課題の検討 撮影:農地政策課職員(冨永裕介氏)
発見の連続!IUCN Leaders Forum Geneve 2023への出席
A continual discovery! Attending IUCN Leaders Forum Geneve 2023
人間総合科学研究群 世界遺産学位プログラム M2 森田奈那美
私は初めて国際会議に出席したため、非常に多くの事を不安に感じていました。まず、英語についていけるかどうかということ、そして内容面ではビジネスと環境保護という、今まで触れてこなかった“ビジネス”の観点から会議が展開されるため内容が理解できるかという点も非常に不安でした。
しかし、英語が分からなくてもとにかく人と話してみよう!というモチベーションで、世界中沢山の方々とお話することができました。特に今回の会議では、今現在自然保護のビジネスにチャレンジしているユース年代の方々とお話する機会に恵まれ、非常に刺激を受けました。世界には自分より年下の人が、気候変動や環境保護に全力で取り組んでいることが理解できました。こうした環境保護のビジネスに取り組む若手の方々やチャレンジできる土壌が現在の日本には必要であると感じています。
今回のIUCN Leaders Forum Geneve 2023出席の経験で、世界がどのように環境保護に向けて歩んでいるのかという現状の把握ができたとともに、その世界の中で日本の立場や現状問題を知ることができました。これから社会人として歩んでいく私にとって、このような世界の動向や日本の課題をビジネス面から知れたことは大きな学びと貴重な経験になりました。
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写真:アフリカで自然保護ビジネスに取り組む若手チェンジメーカーと日本人ユース参加者(筆者右から2番目。撮影:稲葉一華)
文責 生命環境系准教授 佐伯いく代
早いもので、この実習は9年目を迎えました。自然保護寄附講座が設立されたばかりの頃、自然保護について学ぶために、どのような授業をしたらよいのか、私は思案をしていました。そのようなとき、つくば環境フォーラムの方々をご紹介いただき、筑波の里山をフィールドとして、身近な自然について学ぶ実習を立ち上げました。この実習の目標は、1. 足元の自然を見つめること、2. 自らデータをとって分析すること、3. 結果を管理者であるつくば環境フォーラムの方にお伝えし、保全や管理について議論することです。つくば環境フォーラムは、市内に残された貴重な里山を管理くださっているNPOです。私たちはフォーラムの方と一緒に、動物調査用のカメラを設置し、どのような生き物が里山を利用しているのか調べました。すると、タヌキ、ノウサギ、イノシシなど、様々な動物たちが生息していることがわかりました。そして、私たちと動物たちとが共に生きていくためにどのようなことが必要か、考える課題に取り組みました。最終日の成果発表会では、学生たちから様々な意見が出されました。足元の豊かな自然を残していくために、一人ひとりができること。それはささやかなことかもしれませんが、ぜひ学生たちの心に刻まれてほしいと思います。本実習に温かいご支援をくださったつくば環境フォーラムの皆様に心より感謝申し上げます。
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葛城緑地にて、つくば環境フォーラムのみなさんとの記念写真。 (撮影者 佐伯いく代)
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カメラ設置の様子。どんな動物がいるのかな?(わくわく!)
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葛城緑地の植生調査ボランティアのみなさんと、植物を一緒に学びました。小幡先生、どうもありがとうございました!!
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すそみの森では、通りすがりの地元の方からおみかんをいただきました。とてもおいしかったです。どうもありがとうございます!!
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特別ゲストの神宮翔真さん(自然保護寄附講座第2期生、現森林総合研究所)。つくば市内の狩猟の状況について丁寧に説明をしてくれました。どうもありがとうございます!!
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成果発表会の様子。データ分析の結果をもとに、保全や管理の提案を行いました。実際に管理をされているつくば環境フォーラムの方の前での発表とあって、みな、ドキドキでしたね。
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実習にご協力くださったみなさま、どうもありがとうございました。