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【インターンシップレポート】「飯能市」張新語

2019年3月1日 10時06分

人間総合科学研究科 世界遺産専攻 張新語

1. はじめに
私は自然保護寄附講座の支援のもと、2018年に飯能市観光・エコツーリズム推進課にて10日間のインターンシップをさせて頂きました。飯能市は埼玉県の南西部に位置しており、東京から約500円、50分程で行くことができます。飯能市は、2004年に環境省のエコツーリズム推進モデル事業において「エコツーリズム推進モデル地区」に選定され、そのときからずっとエコツーリズムに取り組んでいます。飯能市では「人とのふれあい」と「体験」を重視し、「地域の人が地域の言葉で、地域を案内する」エコツアーが行われています。また、エコツーリズムに継続して取り組んでいることが評価され、他地域や学校からの視察が多いことが特徴です。そこで今回のインターンシップでは、飯能市で行われている、この地域ならではのエコツアーに同行することで、エコツアー及びエコツーリズムの運営に対する理解を深めることを目的としました。


2. 業務内容
私のインターンシップの主な内容は、普段、エコツーリズム推進課の方がされていることです。実際にガイドをするのではありませんが、エコツアーに同行し、道具や資料の準備をすること、参加者の安全管理やエコツアーの様子を撮影すること、ツアー中に注意すべきところを記録することなどを行いました。インターンシップの際には、エコツアーの開催時期などについて、エコツーリズム推進課の方と調整する必要があります。飯能市は、つくばから近いこともあり、インターンシップは日帰りの形式となりました。私は2018年の1月から11月まで10回のエコツアーに同行し、四季折々の様々なツアーを満喫しました!
 
図1:春のルーペで花を観察するツアー


図2:ルーペから見たオオイヌノフグリ
(エコツアーレポート:http://hanno-eco.com)

図3:冬の燻製作りツアー

図4:参加者が作った色んな燻製品

エコツアーによって、仕事の内容は変わることがあります。ですが大体の流れは、①エコツアーの事前準備;②エコツアーの様子の撮影とメモ取り;③飯能市が用意したエコツアー参加者向けのアンケートの配布と回収;④エコツアーの振り返り;⑤エコツアーレポートの執筆、というものでした。

①エコツアーの事前準備
飯能のエコツアーに参加されるお客さんは、地元の方だけではなく、飯能周辺の地域や東京から電車で来られた方も多いです。初めて飯能に来る方でも道を迷わないように、ガイドさんは飯能駅など見つけやすい場所を集合場所とします。集合時間の30分前に、集合場所に行き、ガイドさんに挨拶をして、配布資料を整理することやエコツアーの旗を見つけやすい場所に置くことなどが、その日の仕事の第一歩です。そしてガイドさんから当日のツアーの流れを聞き、エコツアーにいらしたお客さんに笑顔で挨拶することでツアーが始まります。

②エコツアーの撮影とメモ取り
エコツアーの宣伝と発信をするため、ツアーの最中に、ガイドさんが解説しているシーンや、参加者の皆さんが体験しているシーンをカメラで撮影します。また、街で散策している時に、一番後ろからついていき、参加者全員がガイドさんについていっていることを確認することや、エコツアーの旗を手で挙げて、町の住民へPRすることなども行います。そして、ツアー中でよかったと感じたこと、改善したほうがいいと思ったことなどをメモし、それを市に提出して、ガイドさんに活用していただきます。

③アンケートの配布と回収
飯能市は、エコツアーをよりよくしていくため、毎回エコツアーの最後に、参加者にアンケートを行っています。私は市役所の方と一緒に、アンケートを参加者に配り、回収します。

④ツアーの振り返り
エコツアーが終わった後に、市役所の方やガイドさんと一緒に解散場所に残り、当日のエコツアーの振り返りをします。回収したアンケートの意見欄の内容とツアーのメモを参照して、当日行ったエコツアーに対する意見交換をします。市の方もガイドさんもいますので、提案事項や問題点などはその場で反映してもらうことができ、問題の解決も早いです。

⑤エコツアーレポートの執筆
飯能市は積極的にエコツアーを広報しています。例えばエコツアーの募集と実施状況をホームページに掲載し、色々な地域に発信しています。毎回のツアーでの私の最後の仕事は、エコツアーのレポートを作成し、市役所の方に提出して、ホームページに掲載することです。レポートはツアーを宣伝する重要な手段です。地域の方々はホームページから直接エコツアーの情報を得ているので、1日の活動はできるだけ読みやすく、またその面白さを伝えられるように工夫をしました。外国人である私にとって、日本語の文章を作成するのは得意ではないですが、何度も作成するにつれ、自信を持つようになりました。


⒊ 感想
以前は参加者としてエコツアーに参加していましたが、その時は自分の体験に集中していたため、ガイドさんの大変さには全然気がついていませんでした。今回のインターンシップでは、主催者側としてエコツアーに参加し、新しい体験をすることができました。飯能市では、町や山での散策ツアーが多いです。ツアーを実施する前に、散策ルートの選定や道の安全の確認から、解説スポットの設置やルートの景観の変化まで、様々な要素を取り入れてエコツアーを企画されているガイドさんの工夫を何度となく感じました。ガイドさんから、「桜を見るツアーを企画したのに、桜の開花する時期がいつもより早くなって、完璧であるはずのツアーが台無しになってしまった」というお話を聞きました。とても残念と思う一方で、ガイドさんは本当に心を込めてエコツアーをやっているのだという気持ちが伝わってきました。

飯能市でエコツアーをされているガイドさんは定年されたお年寄りの方も多いのですが、地域に対する愛情と誇りをもち、自主的に地域に関する知識を学習され、地域に関連のある情報を集められています。そのようなガイドさんの姿に私はとても感動しました。また、私に日本の風俗や伝統を教えてくださったり、忘年会などに誘ってくださったりして、私と飯能の皆さんとの繋がりが強くなるような機会もいただきました。

市役所の方も一緒にツアーに同行してくださっていたので、飯能市全体のエコツーリズムの仕組みについても話をうかがうことができました。私は飯能市のエコツーリズムについて研究をしています。このインターンシップで行政のことや、ガイドさんのことについて、存分に勉強をすることができ、とても貴重な機会であったと思います。おかげで、飯能市エコツーリズムの体制やツアー実施の仕組みを深く理解することができました。インターンシップをさせて頂いた飯能市観光・エコツーリズム推進課のみなさま、暖かく受け入れて頂いた飯能市のガイドのみなさまに、心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

第5回自然保護セミナー 5th Nature Conservation Seminar

2019年2月28日 11時33分
学内イベント

2019年2月21日(木)、第5回自然保護セミナーを開催しました。
We held 5th Nature Conservation Seminar on 21 Feb, 2019.


Photo: Maiko Suda







日時:2019年2月21日(木)14:00~16:00
Date: Thu. Feb. 21, 2019 14:00~16:00
場所:筑波大学 人文社会学系棟B 216号室
Venue: Humanities and Social Science Bldg B 216, University of Tsukuba

第1部:インターンシップ報告
Part 1: Internship report

第2部:自然保護セミナー履修生によるミニスピーチ
Part 2: Short speech by students from Certificate Programme on Nature Conservation

自然保護セミナー(Nature Conservation Seminar)は、筑波大学自然保護寄附講座が主催する公開セミナーです。自然保護寄附講座の履修生だけでなく、どなたでも自由にご参加いただけます。(事前申込不要)
Nature Conservation Seminar is a public seminar organized by  the Certificate Programme on Nature Conservation. The advance application is not necessary.

Contact:筑波大学大学院 自然保護寄附講座 事務局(共同研究棟A 202)
Office of the Certificate Programme on Nature Conservation (Cooperative Research Building A 202) 
TEL: 029-853-6344  E-mail: nature@heritage.tsukuba.ac.jp

poster_Japanse_English.pdf

2017年度第5回自然保護セミナーの様子
「第5回自然保護セミナー」を開催しました!(1/2)
「第5回自然保護セミナー」を開催しました!(2/2)

【インターンシップレポート】「IUCN2018」藤井郁乃(3)

2019年2月22日 17時21分

人間総合科学研究科 世界遺産専攻 藤井郁乃

0. はじめに

月日が経つものは早いもので、ついにIUCNでのインターン終わりを迎えました。IUCN世界遺産プログラムチーム(以下WHP)の一員として、人生の中でも指折りの充実した学び多き時間を過ごせたことを心より感謝しています。

7月には、常に私の業務の中心にあった世界遺産委員会がバーレーンで開かれました。日中40度を超える気温の中で、その暑さに劣りもしない白熱した議論が交わされていました。

1.  世界遺産会議の概要

世界遺産会議とは、毎年一度世界遺産条約に加盟した国々が一挙に集って行われる国際会議です。会議は条約締結国(State parties)の出席の上で、6 年間の任期をもつ21の委員国が中心となって行われます。世界遺産に関わる様々な議論が交わされる場でありますが、中でも大きな議題は①既存登録物件の保全状況の確認と②新規登録物件の審議です。IUCNは既存案件のモニタリングと新規登録案件の評価を担っており、その両議題において中心的な役割を果たします。

1.2 世界遺産会議への出席

私はIUCNの使節団の一員として、主に2つの業務を担当しました。
1つ目が諮問機関によるサイドイベントのオーガナイズです。世界遺産委員会には、科学的知見を基に遺産の評価やモニタリングを行う諮問機関が3つあり、IUCNは自然遺産に関わる業務を担当しています。文化遺産に関わることはICOMOS, さらに文化遺産のうち保存や修復に関する業務に関わるのがICCROMです。これら3つの団体は、毎年世界遺産会議の開催期間において、時には別の国際組織と連携をとりながら世界遺産に関するイベントを連日開催しています。

【インターンシップレポート】「IUCN2018」藤井郁乃(2)

2019年2月22日 17時16分

人間総合科学研究科 世界遺産専攻 藤井郁乃


0. はじめに
こちらに着任してから3ヶ月が経過しました。3月は「東からの野獣」と称される猛烈な寒波が東欧から押し寄せ、温度計がマイナス25度を記録しました。聞くところによると25年ぶりだそうです。その記念すべき年にこちらにいられたことを感謝すると同時に、できれば涙と鼻水が凍てつく寒さをもう経験することなく、こちらで春を迎えたいと心から思います。

1. 3-4月の業務

1.1. World Heritage knowledge Bank

世界遺産プログラムは世界で最も歴史があり、国際社会のフロンティアで在り続ける自然保護制度です。

IUCNは1972年に世界遺産条約が採択された頃から一貫して専門機関としてユネスコに関わっており、1978年にガラパゴス諸島やイエローストーン国立公園が始めて世界遺産として登録された際にはそのOUVを見定める調査を実施しました。
World Heritage Knowledge bankとは、IUCNが過去に関わった世界自然遺産サイトに関する情報を集約しているフォルダで、私は今それらの資料の効率的なアーカイブを任されています。

国連の公用語である英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語で書かれた膨大な資料を分析・アーカイブするのはなかなか大変ですが、世界史遺産の歴史の集約といっても過言ではない資料を見られるのは非常に貴重な機会です。
中でも、保護保全に関するに極めて重大な問題をIUCNが指摘し、その遺産が世界遺産会議で危機リストに登録され、その後の保有国の努力とIUCNの継続的なモニタリングによって危機リストから除外された一連の資料を見ると、IUCNの意義と存在感の大きさを思い知ります。

[林野庁] 説明会

2019年2月20日 10時09分
学内イベント

自然保護寄附講座では林野庁の説明会を開催します。
業務内容だけでなく、採用や公務員試験についてもお話しします。
林野庁に興味がある人はもちろんのこと、公務員や自然系の業界に興味がある方もぜひご参加ください。

日時:2019年3月12日(火)16:00-17:00
場所:人文社会学系棟B216号室
対象:林野庁に興味がある学生(一般職と総合職どちらでも可)
内容:林野庁の業務説明・先輩職員との座談会

当日参加も受け付けますが、資料準備の関係上、可能な方は下記の事前登録(2月28日〆切)にご協力ください。