お知らせ News

第2回国際シンポジウム「自然と文化をつなぐ-神聖な景観」

2017年9月4日 12時19分
学外イベント

【本シンポジウムは終了いたしました。ご来場、ありがとうございました】

筑波大学大学院世界遺産専攻及び自然保護寄附講座では、昨年度からユネスコ世界センター、IUCN、ICCROM、ICOMOSの協力を得て、遺産保護における自然と文化の連携を促進するためのプログラムを実施していますが、このほどユネスコ・チェアの
認可を受け、その一環として本事業を実施・継続することとなりました。

第2回目となります今年度は、「神聖な景観」をテーマに、アジア・太平洋地域を中心に16人の若手専門家を招へいしして人材育成事業を実施しますが、そのまとめを兼ねた国際シンポジウムを下記の通り開催します。

自然と文化を連携する分野で活躍している専門家のキーノートスピーチほか、研修者の成果発表、研修者を交えた専門家とのディスカッションセッションを実施します。

どうぞご参加ください。

夏季休業のお知らせ

2017年8月10日 16時58分

夏季休業のお知らせ

筑波大学自然保護寄付講座事務局は、下記の日程で夏季休業とさせていただきます。

期間 : 2017年8月11日(金)~2017年8月20日(日)

お問い合わせへのお返事や申込に関するご返答等は、8月21日(月)より順次行って参ります。
何卒ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

自然保護寄附講座事務局

2017年自然保護寄附講座公開講座のお知らせ

2017年8月4日 10時08分


2017年自然保護寄附講座公開講座のお知らせ

 【本講座は終了しました。ご参加、誠にありがとうございました。】
     
        

筑波大学大学院自然保護寄附講座では、
①生態系の保全と復元
②ジオパーク論
という2つのテーマについて、公開講座を実施します。

各分野で目覚しい活躍をされている方々を講師としてお招きしています。
学生・社会人かかわらず、自然保護にご関心のあるすべてのみなさまのご参加をお待ちしています。

詳しくはこちらの資料をご覧ください → 生態系の保全と復元2017.pdf 
                                                                     ジオパーク論2017.pdf 
HPからのお申し込みはこちらから → 公開講座申込フォーム

世界遺産委員会の報告

2017年7月5日 13時35分

 7月4日、ポーランドのクラクフで開催中の世界遺産委員会のサイドイベントで筑波大学世界遺産専攻・自然保護寄附講座のMaya Ishizawa研究員が、筑波大学のアジア太平洋地域の遺産保護における自然と文化の関係に関する人材育成ワークショップについて発表しました。この日はランチタイムのサイドイベントにおいてICCROM, IUCN, ICOMOSが行っている自然と文化の関係に関する人材育成に関する発表が続きました。ICCROMJoe King氏から、ノルウェー政府の支援により、今年6月にノルウェーのロロスで開催された世界遺産リーダーシッププログラムの報告があり、続いて筑波大学世界遺産専攻・自然保護寄附講座のMaya Ishizawa研究員から、2016年から4年計画で実施しているアジア太平洋地域の遺産保護における自然と文化の関係に関する人材育成ワークショップの報告をしました。

【レポート】日本自然保護協会インターンシップ

2017年6月7日 16時48分

日本自然保護協会インターンシップ報告

外崎杏由子

人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻

Internshipexperience at The Nature Conservation Society of Japan

AyukoTonosaki

WorldCultural Heritage Studies, Graduate School of Comprehensive Human Sciences

 

 20157月から2017年の3月まで、週一回、日本自然保護協会でインターンシップを行ってまいりました。日本自然保護協会は日本を代表する自然保護NGOの一つですが、その活動の中でも宮崎県綾町の綾ユネスコエコパークと綾の照葉樹林プロジェクトの活動について、業務を体験させていただきました。宮崎県綾町は綾の照葉樹林プロジェクトをはじめとする照葉樹林との共生を目指したまちづくりが高く評価を受け2012年に綾ユネスコエコパークとして登録されています。綾の照葉樹林プロジェクトは官民5者が共同で協定を結び、人工林から自然林を保護・復元していくプロジェクトとして2005年に発足し続けられています。

 

 業務内容では主なもの二つをご紹介いたします。一つは綾ユネスコエコパークでの地域住民対象の意識調査(アンケート調査)の実施、そしてユネスコエコパークにおける博物館機能についての調査です。

 

 綾ユネスコエコパークでの地域住民対象の意識調査(アンケート調査)では、まず質問紙を作ることからスタートし、綾町ユネスコエコパーク推進室の方々や、てるはの森の会の市民の皆様からたくさんの助言をいただきながら質問紙を完成させました。配布回収は綾町ユネスコエコパーク推進室にお願いし、綾町独自の自治会制度である自治公民館制度を利用して300枚の質問紙を配布、176枚の回答を得ました。回収率は59%ととても高いものです。いただいた回答の入力、集計、分析作業は慎重に行いました。結果からは、綾町民が綾ユネスコエコパークの登録を好意的に受け止めていること、また綾の照葉樹林に誇りを持っていることが明らかとなりました。まとめた資料は綾の照葉樹林プロジェクトの会議で発表したほか、綾町自治公民館長会で町民の皆様に発表する機会もいただきました。自治公民館長会の発表では、学校での発表とは異なり、大変緊張し、うまくできなかったところも多かったのですが、あたたかく労っていただき、大変勉強になりました。

 もう一つの国内のユネスコエコパークにおける博物館機能についての調査は、ユネスコエコパークに登録されている自治体に自然系博物館などの博物館機能について調査を行ったものです。この調査では、質問票を作ったり、データをまとめたりする作業に綾ユネスコエコパークのアンケート調査の経験が役立ちました。

 また、現地に伺って、綾の照葉樹林プロジェクトの会議を傍聴したり、復元場所の視察に同行しました。綾の照葉樹林プロジェクトは官民協働で行われていますが、具体的にはそれぞれの主体ができることを積み重ねていく方式でプロジェクトが進められています。たとえば、綾町・宮崎県は調整・市民への広報、林野庁は復元場所の間伐、日本自然保護協会は林床調査、てるはの森の会はボランティアガイドの育成や市民向けの広報活動の実施などです。新しい官民協働の自然保護プロジェクトが実際に運営されて進んでいる様子を見るのはとても興味深い経験になりました。

         
     図1 綾の照葉樹林(筆者撮影)       図2 間伐、復元場所の視察(筆者撮影)

 

 インターンシップを通じて、自然保護の制度や枠組みが具体的に運営されている現場を実際に体験させていただきました。大学の講義だけでは分からなかった、どのように現場が動いているのかという実感を得ることができたと同時に、現場の難しさを肌で感じることができました。制度だけではなかなか人は動きません。自然保護プロジェクトでは、地域住民や企業をどう巻き込むか、どうやってわかりやすく人に伝わるストーリーを考えられるか、といったことを日々考え、実践していかなくてはならないからです。日本の自然保護の現場の一つの形を感じ取ることができたことが、とても勉強になりました。また、失敗や挫折で社会における働くということの難しさに直面しました。日本の生物圏保存地域はユネスコエコパークとして、日本型の自然保護・共生を目指していますが、近年新しく登録される地域が出てきたことなどから地域振興策としても注目を集め、地域同士が協力し合うネットワークができるなど、盛り上がりを見せています。論文に書くことはできませんが、人との関係性の中で、制度や仕組みが前進していく様子にわくわくさせられました。自分の将来にもこれらの経験を生かし、努力してまいりたいと思います。

 最後にこのような機会を与えてくださった先生方と、日本自然保護協会、そして綾町であたたかく受け入れてくださった皆様、そして、日々至らない私に根気強く助言をくださった朱宮丈晴さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 図3 綾町内の吊り橋と綾城(筆者撮影)