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自然保護特別実習1(屋久島実習)を行いました!

2023年9月20日 09時00分

2023年9月5日~9日、屋久島にて自然保護特別実習1を実施しました。お天気に恵まれ、とても充実した実習となりました。

森と水の島 屋久島 (Photo: Mahanayakage Chamindha Anuruddha

実習の前半では、ヤクスギランドに行きました。ここは自然休養林になっており、大きなヤクスギや、江戸時代に伐採されたという伐り株、ダイナミックな渓流などをみることができます。私たちは、インストラクターの方のお話をうかがいながら、自然豊かなヤクスギ林の中を歩きはじめました。スギ、モミ、ツガの見分け方や、木の実の種類などについて教えていただき、徐々に知識を深めていきます。すると一つ困った事態が発生しました。それは、みなの好奇心が旺盛すぎて、少し歩いては「あ、○○○」などと、沿道の動植物たちの観察が始まってしまうことです。これは大変喜ばしいことですが、カメの歩み(?!)に匹敵する歩行速度となってしまい、当初予定していたつつじ河原での昼食は到底不可能  急遽、短縮したルートに変更し、じっくり森の中を歩くプランとしました。渓流沿いの花崗岩の上でおにぎりをいただき、午後は屋久杉自然館と世界遺産センターの見学、夕食後はナイトハイクと盛りだくさんの1日でした。

ヤクスギランド入口にて.

木々の中を歩きます.

ヤクスギ(仏陀杉:左)およびヤクスギランドで観察したもの(抜粋).

翌日は、白谷雲水峡に行きました。ヤクスギランドでの教訓から、私たちは一つの誓いを立てました。それは、「生き物をじっくり見たいという欲求はしばし封印し、ゴールとする太鼓岩までの登頂を最優先する」というものです。自然大好きの学生たちにはやや厳しい目標でしたが、「強い気持ち(Strong Heart)」を合言葉に、無事、太鼓岩までたどりつくことができました。太鼓岩からは、「洋上アルプス」の名の所以となった美しい山々がみえます。緑に輝くコケの森、大きな花崗岩、美しい渓流、鳥のさえずり、着生植物、楠川歩道、土埋木など見どころ満載のトレッキングでした。

白谷雲水峡

太鼓岩.たまたま岩上でご一緒した登山客の方がたと一緒に記念撮影.

巨木を仰ぎみて.

この実習では、豊かな自然を体験するだけでなく、屋久島の自然と人々との関係についても学ぶことを目的としています。その一環として、屋久島南西部にある中間(なかま)集落を訪れ、地域の方に集落の魅力を解説していただく「里めぐりツアー」に参加しました。到着して早々、語り部の方のパッションあふれるお話がはじまります。「す・・・すごい!」 公民館にて集落の歴史や文化などについて説明をいただいた後、中間神社・森山大明神、たんかんの果樹園、ガジュマルの防風林、集落の家々、100円ショップ(!)などを見学し、かからん団子や南国フルーツなどをごちそうになりました。屋久島は、そこに住む方々にとってはどのような場所なのでしょうか? このツアーでは、語り部の方の集落や屋久島への思いを直接うかがうことができ、大変、貴重な時間となりました。その後訪れた西部林道では、世界遺産地域内にある集落の跡地を歩きました。屋久島では美しい自然にばかりに目がいってしまいがちですが、古くから人の営みが存在していたことはあまり広く知られていません。今、世界自然遺産として屋久島の自然が評価されているのは、島に住む人々が、山、里、海の自然を大切にされてきたことの証であると思います。美しい海辺の風景を見ながら、インストラクターの方に屋久島の現状についてお話いただき、ヤクシカやヤクザルの群れを観察して、現地を後にしました。

 

中間集落での里めぐりツアー(Photo: Mahanayakage Chamindha Anuruddha

 

語り部の方より集落の成り立ちや伝統行事などについてお話をいただきました.

ガジュマルの木.迫力満点です.

西部林道沿いの照葉樹林

海をみながらインストラクターの方のお話をうかがいました.

最終日は、各自がレポートにまとめた意見をもとに、グループディスカッションを行いました。屋久島は、人と自然との関係を考える上で、とても示唆に富む場所です。学生ひとりひとりが自分の専門性を活かし、この島の自然と文化を見つめることができたことは、大きな成果でした。学生たちのチームワークは抜群で、家族のような雰囲気の中で学ぶことができました。

私たちをあたたかく受け入れてくださった屋久島環境文化研修センターのみなさま、おいしいお料理と素敵なお話をしてくださったシェフの方、心あたたまるおもてなしをいただきました里めぐりツアー関係者のみなさま、その他、この実習をサポートくださった全てのみなさまに心より感謝申し上げます。

グループディスカッションと成果発表

環境文化研修センターにて.(Photo: Mahanayakage Chamindha Anuruddha

 (文責 生命環境系准教授 佐伯いく代)