【インターンシップレポート】「環境省自然環境局国立公園課」中嶋美緒
2019年12月3日 09時49分生命環境科学研究科 生物資源科学専攻 中嶋美緒
私は、2019年7月28日~8月9日の10日間で環境省 自然環境局 国立公園課(以下、国立公園課)でのインターンシップを体験させていただきました。
本レポートでは、私が体験したインターンシップについて、(1)志望動機、(2)内容、(3)得たもの、の3項目に分けて報告させていただきます。
(1)志望動機:
私は、市民と自然環境の架け橋となる仕事に就きたいと考えています。国立公園は人々に自然への親しみを抱かせる場のひとつです。そして、国立公園の管理には環境省だけでなく地方自治体や地域の方々、民間企業など様々な立場の方が携わっています。私は、国立公園に関わる仕事に興味がある一方で、「立場によって業務が違うはずだが、どのような違いがあるのか?」と疑問を抱いていました。そこで、環境省では国立公園の管理・運営のために何を行っているのか、特に他の行政機関や企業との違いに着目しながら学ぶこと、また将来の就職活動先としてみたときの自分の適性を探ることを目的に、本インターンを志望しました。
(2)内容:
インターン中は、(i)自然環境局の各課の業務説明、(ii)イベント等への出席、(iii)課題研究、といった経験をさせていただきました。以下に簡単な業務内容の報告をさせていただきます。
(i)自然環境局の各課の業務説明
本インターンシップでは、冒頭に、自然環境局の業務内容を詳細に伺う機会を設けていただきました。2日間で自然環境局 国立公園課、自然環境計画課、野生生物課、自然環境整備課の全10名の職員の方に業務説明をしていただき、各課・室で行っているプロジェクトの内容や課題点、それまでの皆さまの経歴についてお伺いしました。多くの方にレンジャー(自然保護官という名が正式名称だが、通称としてレンジャーを使用)時代の話を伺ったことで、本省でのインターンシップではあったものの、地方事務所・公園事務所での業務についても理解を深めることができました。特に、国立公園の現場のイメージや地域の方々との連携、さらにレンジャーの仕事のやりがいなどについて学ぶことができて大変有意義でした。
(ii)イベント等への参加
中央環境審議会では、各国立公園の事業について本省の国立公園課の方が代表して有識者の方と審議する現場を見学し、各国立公園が抱える個々の課題に対して詳細に政策が決められているのだと知ることができました。
こども霞が関デーでは、小学生を対象に環境省の仕事や取組みの紹介をする場の見学をし、教育や国立公園の利用の推進といった面での業務内容を垣間見ることができました。
「中央環境審議会」と「こども霞が関デー」に参加させていただきました。
中央環境審議会では、各国立公園の事業について本省の国立公園課の方が代表して有識者の方と審議する現場を見学し、各国立公園が抱える個々の課題に対して詳細に政策が決められているのだと知ることができました。
こども霞が関デーでは、小学生を対象に環境省の仕事や取組みの紹介をする場の見学をし、教育や国立公園の利用の推進といった面での業務内容を垣間見ることができました。
(iii)課題研究
本インターンシップでは、「インターン中に興味を持ったトピックについて探求し、最終日に成果報告会をする」という課題研究の機会を設けていただきました。私は「ふるさと納税を国立公園満喫プロジェクトに活用できないか?」という問いのもと、活用方法を模索しました。はじめに、ふるさと納税による寄付金を国立公園や満喫プロジェクトへ活用している事例を探し、さらに、「なぜふるさと納税を使っているのか」自治体へ電話やメールで問い合わせました。調べた結果、寄付金は予算案提出の手間がなく使途が細かく限定されない使いやすい財源であること、最近は体験型返礼品に注目が集まっていることが分かり、最終的に寄付金の利用と返礼品という2つの面からの国立公園への活用法を提案しました。成果報告会には10名近くの職員の方がお越しくださり、発表内容や今後の展望への貴重なご意見を頂戴しました。
最も勉強になった点は、財源や補助金制度など、これまでとは違う側面から国立公園の課題を考えたことです。さらに、市町村単位での課題を探り、その事例を集めて国という立場から援助する方法を考えるという過程は、環境省という立場ならではの業務であると感じました。研究を通じ、国立公園での保護と観光利用の両立について現状を理解し、今後の管理運営のあり方を考えながら理解を深めるということができたと思います。
写真:成果報告会の様子(撮影:国立公園課)
(3)得たもの:
国立公園課は「国立公園から関係主体へつなぐ橋」であり、「日本の自然を相手に」仕事をしているのだと感じました。自治体の要望も住民の要望も現地のレンジャーなどを通じて本省の国立公園課を通ること、国立公園課が国立公園全体を俯瞰して各公園の課題解決策の提案や国の政策決定を行うことを理解しました。
さらに、国立公園を取り巻く様々なトピックを知り、財源という新たな視点から国立公園を見つめたことで、国立公園の保護と利用に対する視野が広がったと感じています。
また、インターンを通して、「どちらかといえば事務作業や繰り返しの仕事が多い」と思っていた公務員の仕事への認識が変わりました。業務内容(iii)の課題研究において、どのような返礼品なら国立公園へ足を運ぶきっかけになるか考える際には様々な方と意見を交わし、まるで企業で新規プロジェクトを進めているような楽しさを感じました。
最後に、なにより職場の雰囲気が朗らかで、「ここで、こういう方々と一緒に働きたい」と強く思いました。実際の仕事は比較できないほど大変とは思いますが、国立公園課の方々と出会い、社会に出ることへの不安が和らぎました。
インターンシップの10日間を通し、非常に貴重な経験ができたと感じています。受け入れてくださった国立公園課の方々にこころより感謝申し上げます。