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【インターンシップレポート】「環境省気候変動適応室」後藤鮎美

2019年10月16日 12時33分

生命環境科学研究科 生物科学専攻 後藤鮎美

○はじめに
私は、令和元年7月22日~8月2日までの2週間(実働日数10日)、環境省 地球環境局 総務課 気候変動適応室(以降、適応室)にてインターンシップをさせて頂きました。元々私は環境問題とそれに対する具体的な対応に興味があり、環境省における気候変動の影響への対応推進の取り組みを知るため、適応室を志望しました。

環境省のインターンシップの申し込みは、大学を通してのみの応募となり、申し込みにあたり要望書の作成が必要です。要望書には自分が希望する部署で、どのような就業体験を行いたいか記載します。環境省でのインターンシップを考えている方は、各局や各課がどのようなことを行っているのか、環境省のHPで事前に調べておくと良いと思います。

今回私がインターンシップをさせていただいた適応室は、近年見られる気温上昇や豪雨などの気候変動の影響の適応策の推進を行っている部署です。気候変動への対応として、今までよく知られている「緩和策」と呼ばれる温室効果ガスの排出量を減らす活動に加えて、稲や果実の高温耐性種の開発や熱中症予防の促進など既に生じている、あるいは、将来予測される気候変動の影響による被害の回避や軽減対策である「適応策」の推進を行っています。気候変動への対策として、緩和策と適応策をどちらも行っていくことが重要となります。

○インターンシップの内容
インターンシップの主な内容は、気候変動適応計画のフォローアップ報告書作成の業務補助でした。平成27年11月27日に閣議決定された「気候変動の影響への適応計画」(平成30年11月27日に「気候変動適応計画」に改定)の各項目について1年ごとにフォローアップを行い、適応策の進捗状況を把握する方法の検討を行うための業務となります。フォローアップ業務補助の他に、計4つの会議に参加させていただき、気候変動の適応策への理解を深めました。その他にも省内において他局の方などから環境省における様々な業務のお話をお聞きすることが出来、大変勉強になりました。

フォローアップ業務補助は、①各府省庁、省内関係部署の個票の統合、②指標整理票の作成、の2つの業務を行いました。気候変動適応計画は農林水産省や厚生労働省など多くの府省庁が関わって作成しており、フォローアップに関しても多くの関係府省庁と連携していく必要があります。そのため各府省庁に作成してもらった個票を集め、統合する業務をまず、行いました。その後、報告書に添付する指標整理票の作成を行いました。これは、各適応策を定性的または定量的に評価する指標を票にまとめる業務です。指標を一覧にすることで、どの程度個々の適応策が進んでいるのか、わかりやすくするために資料を作成しました。また、フォローアップ業務に関連して、適応策の進捗を把握する方法を検討しました。気候変動の要因→影響→適応策→得られる結果のフロー図を作成することによって、適応策がどの程度まで促進しているのかを図で確認することが出来ます。

会議は①気象庁の職員の方々を対象とした研修における気候変動適応についての講演、②関東広域協議会(地域ブロックにおける国、地方自治体、研究機関などの地域で気候変動に関わっている方々の話し合い、情報交換の場)、③ISAP(持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム International Forum for Sustainable Asia and the Pacific)における適応セッション(アジアの国々の関係機関のプレゼンテーション、パネルディスカッション)④適応民間セミナー(民間事業者の方々に対してどのように適応策を取り入れていくかのセミナー)の4つに参加させていただきました。気候変動の適応策は国・自治体・民間企業など、様々な立場の人々と協力して取り組んでいく必要があるので、様々な会議がとても多く開催されていました。今回はその一部に参加させていただきました。

○体験を通じて
今回の研修では、気候変動適応という日本で認知され始めている概念を推進している部署においてインターンシップを行うことにより、どのような取り組みを行っていけば適応策を推進できるのかについて学ぶことが出来ました。研修において関係書類の作成に関わらせていただくことにより、気候変動適応を今後、国としてどう進めていくかの指針になっていくであろう業務を体験することが出来、その重要性なども感じることが出来ました。また、気候変動適応はとても多くの関係者が存在し、それぞれがそれぞれの役割を担っていくことが重要であることも様々な会議を通じ、勉強することが出来ました。また、インターンシップに参加する前は、気候変動適応という概念や代表的な取り組みは知っていましたが、法律が出来ることの重要性、それぞれの関係機関の役割や関係性、異なる立場の人々に取り組みを理解してもらうことの難しさなどについて感じることが出来ました。

今回のインターンシップでは適応室を始め、たくさんの環境省の方々にお話を聞くことが出来、適応について学ぶことはもちろん、仕事への姿勢や考え方などに触れることが出来、進路を考える上で大変刺激を受けました。ご多忙の中、インターンシップの受け入れ及び温かいご指導をしていただき、誠にありがとうございました。