HTML Map
 
 

自然保護寄附講座第7期生募集![Apply now for the CPNC!]

筑波大学大学院新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます!
自然保護寄附講座では、第7期生(2020年度春履修開始)を募集します。
Apply now for the Certificate Programme on Nature Conservation of 2020!

新入生向けPRビデオ「自然保護寄附講座を受講しよう!」(約2分30秒・日本語)
再生するには画像をクリックしてください。(you tube)
Please click the PR video "Let's join Certificate Programme on Nature Conservation!" above to play (2.5 minutes in Japanese).
詳細はこちら
 











 

NEWS&EVENT

NEWS&EVENT >> 記事詳細

2017/10/16

【インターンシップレポート】「トヨタ白川郷自然學校」阿部紘平

| by admin
生命環境科学研究科 地球科学専攻 阿部紘平

トヨタ白川郷自然學校は岐阜県大野郡白川村に位置する。世界文化遺産に登録されている白川村の合掌集落からほど近い。周囲は標高2700 mを越える白山をはじめとする山々や湖に囲まれており、普段街中に暮らす私たちはあまり感じることのできない大自然がそこにはある(図1)。自然學校はトヨタ自動車がオーナーとして土地や初期投資の援助をしたがその後は独立採算方式をとる民間・NGOである。京都議定書採択、トヨタプリウス発売と自然・環境を守る姿勢が評価される時代になり、環境教育の場所が必要になるということで、2005年に完成した。以下に運営理念を引用したが、コンセプトとしては、日本独自の環境教育の施設を目指し、自然に関する新しい客層を生み出すことを目標としている。雄大な自然に触れ、自然の恵みを頂き、自然を学ぶ様々な活動を通して、自然の素晴らしさや自然は守るべきものであるということを再認識し、自然に対する興味を持ってもらおうということである。つまり、日本におけるエコツーリズムの先駆けであると言える。

図1 トヨタ白川郷自然學校の場所(矢印地点)
円で囲まれている場所が白川村の合掌集落

<トヨタ白川郷自然學校の運営理念>
一、自然の中で感動し、自然の営みを学び、自然の叡智に気づくことが、一人ひとりの人生を豊かにし、社会のためになるということを、多くの方に伝えていくよう努めます。
一、国内外の専門家と交流を活性化し、環境教育や自然体験・アウトドアに関する知見や技能を持った人材を育て、全国各地へ輩出できるよう努めます。
一、白川村はもとより、日本中で自然体験やアウトドアズを楽しむ人が増え、その基となる豊かな自然環境が受け継がれていくことに貢献します。

私はここトヨタ白川郷自然學校で 8月20日から30日までの10日間、インターンシップとして業務体験をさせていただいた。一般的な自然保護団体や活動が自然を相手にしているのに対して、本インターン先は自然だけではなく、人間すなわちお客様も相手とし、自然と人間を繋ぐ架け橋となるような場所だった。私はそこで、環境省などの国の機関とは違い、民間・NGOとして自然を扱うことの大変さや意義、民間・NGOだからできる自然とのかかわり方を学んだ。

今回のインターンで私はプログラム研究部という部署に配属された。その部署では、お客様に自然に触れて、自然を感じてもらうための様々な活動(以下プログラムと呼ぶ)の企画・立案・運営しており、その中でも運営業務を体験した。プログラムの運営を通して、まず私が感じたことは、自分の仕事の向こう側にはその日の活動を楽しみに待つお客様がいることを常に意識することが大切だということだ。例えば、自然學校近くの川(図2)でイワナを手づかみで捕獲して、炭火で焼いて食べるというプログラムでは、イワナを捕まえる場所の流量を調整したり放流したイワナが逃げないようにネットや柵を設けておくのだが、それらに不備があれば用意したイワナが逃げてお客様に迷惑をかけることになる。あるいはお客様が怪我をしてしまう可能性もある。捕まえたイワナを焼くことはスタッフが担当する(図3)のだが、せっかく捕まえても焦がしたり、火が弱く時間内に十分に焼けないなどがあっては台無しになってしまう。炭を組む作業一つ、焼く魚を受け取る作業一つ、自分が動かす手はすべてお客様が笑って楽しんでくれている姿に繋がっている。それは緊張も伴うが同時にやりがいでもあった。自然と触れる場を提供している側としてはそのことを常に頭に置いておくべきだと感じた。

図2 イワナ獲り会場の1つ
手前の線と奥の線の部分にネットを張り、そこにイワナを放流する。

図3 お客様が捕まえたイワナを焼く様子。
   炭はスタッフが熾す。

自然學校を訪れるお客様は個人のお客様の他にも団体で利用される方々も多い。団体様を構成している一人一人は当然のことだが、男性もいれば女性も子供もいて、中には海外からのお客様がいることもある。年齢も体格もみんな違う。そのような場合、皆さんに同じ対応を一辺倒にしたのでは、それぞれのお客様に充実した時間を過ごしていただくことはできない。例えば、海外の方であれば宗教的にできないこと、食べられないものはないかを確認した方が良い場合はあるだろうし、小さいお子さんと中学生であれば説明の仕方や注意喚起の仕方は異なるはずだ。家族連れであれば、班分けなどでバラバラにならないような配慮が必要だろう。細かいところまで気を配り、それぞれに適切なフォローを差し出すなど、ちゃんと一人一人に目を配り観察して、その時々の状況も考慮しつつその都度対応を変える必要がある。これらのことは、国や県といった公共の期間が国、県全体の住民を相手にしているのに対して、目の前の特定のお客様を相手にする民間・NGOだからこそ感じて学ぶことができた点だと思う。

しかし、民間・NGOであるがための難しい点もある。それは確実に運営を続けるためにお客様に来続けていただかなくてはいけないという点だ。そのためにはプログラムはただ単に参加して体験してもらうものでは不十分であり、その金額に見合った価値をお客様に見出していただけるように工夫しなければならない。例えば、レザークラフト体験というプログラムでは、革を加工して作品を作ってもらうのだが、作業自体はそれほど難しくないため、作品を作るだけの体験であればどこかのお土産屋さんで買った方が早いし安いかもしれない。しかしそこには、実際に革に触れることで、得られる「革」という素材の魅力を感じることができるという付加価値がある。つまり、革の持つ軟らかさ、手触りや質感、重みがどのようなものなのか、革はハサミで切ることができ、水をつけて形を整え乾かして成形することができるという加工のしやすさなどである。私たちスタッフ一人一人が、そのプログラムを通してお客様に何を感じて、何を学んでいただきたいのかを理解し、伝えることがそうした付加価値をプログラムにつける上では大切である。

一方で、課題も多いことを知った。例えば、有料プログラムに参加する余裕がない人に対しての自然・環境教育の機会はどのように提供するのかという点がある。他にも扱うものが「自然」である以上、天候によっては予定通りにプログラムを実施できないこともあるが、悪天候によりキャンセルなどが続けば、お客様に充実した自然体験をしていただくことも、運営を続けることも難しくなる。利益を生み出す必要がある民間・NGOで自然を扱う際ならではの課題であるといえる。

私は自然やその中でのアウトドアなどが好きで、それを特に民間などで仕事にするとはどのようなことなのかを知りたいと思っていた。今回のインターンはその点について学ぶことができる大変貴重な機会となった。
今回学んだことは、仕事以外の普段の生活においても役に立つことばかりであった。ということは、普段の生活から心がけることが大切だということでもある。インターンで学んだことを意識して、今後に生かしていきたいと思う。


11:29